販売職のスキルアップに転職をしたが無駄に

大学卒業してすぐに販売の仕事に就きました。扱う商品が高額のため、言葉遣いや立ち居振る舞いなどを厳しく指導され、個人の売り上げ成績も細かく見られ評価される環境でしたが、そのことに遣り甲斐を感じ楽しく働いていました。私にとって接客を通じてお客様に喜んで頂けることが何よりの喜びであり、専門知識を深めていくことで更に接客の質を高めようと努力していました。

入社から数年経ち、管理職になり部下を持つようになった頃のことです。より専門性の高い商品を扱っている同業他社への転職を決意しました。求人募集が出るのを待ち履歴書と職務経歴書を送ると、担当者より面接の日程について連絡がありました。求人内容としては、店頭での接客販売です。

面接当日、面接官が私の履歴書と職務経歴書に目を通し「これだけの経歴と実績をお持ちの方がうちに来てくれるなんて本当に嬉しいです。あなたの場合、新人という扱いではなく現場に配属されたら即戦力と考えています。すぐに接客に入ってもらうので、うちでもどんどん実績を作って下さい。」と言われました。面接の数日後に担当者から正式に内定の連絡を頂き、勤務地の希望を確認されました。その時にも「あなたの実力に相応しい場所を用意したいので、一番規模の大きい店舗へ配属したいのですが宜しいですか?」と言われました。

そして正式に入社手続きを済ませ、出勤初日のことです。配属された店舗の責任者と個別の面談がありました。そこでも「同業他社とはいえ、もう十分に経験を持っていらっしゃるので、即戦力としてすぐ接客に入って下さい。期待しています。」と言われました。

入社して数週間が経ち実際に私が任された業務は、取引先の企業への営業回りでした。特に平日は先方の担当者にアポを取り営業に出向くので、再三言われていた『即戦力としての接客業務』はおろか配属された店舗にいる時間は殆どなく、外回りばかりの毎日でした。週末のお客様が多く来店するような日は、若手社員と一緒にお客様へのお茶出しや他の人が接客した後のテーブルの後片付けの為に一日中走り回りました。これでは求人内容と全く違うと戸惑いました。でも同業他社で経験を積んできたとは言え所変われば新人からのスタート、まずは雑務なども含め一から学ぼうと自分に言い聞かせて耐えました。

ところが、入社から半年後経っても状況は全く変わりませんでした。ついに一部の社員から「あなたは経験者で入社しているのに、接客せずに雑用ばかりだね。なんで責任者は、あなたに接客させないんだろう。」という声が上がりました。お客様が来店されると、誰が接客に入るのかは責任者が全て指示をします。業務の中でも、やはり接客は花形であり、会社の要です。当時の責任者はまだ若かったので今考えてみると、たとえ経験者とは言え途中入社の私に即戦力として接客をさせる勇気がなかったのだと思います。私より社歴の長い若手社員からの反感を買うことも考えられますし、日頃の様子を見ていても責任者として部下を指導するという姿勢は見られずご機嫌ばかり伺っているような方でした。

入社から約一年が経った頃、ついに退職を決意しました。理由は正直に、求人内容や面接での話と現状が全く違うということを説明しました。私の話を受け、人事の最高責任者の方が「そんな事とは知らなかったです。改善させるので、退職を考え直して下さい。」と言っていました。でも改善するとは思えませんでしたし、採用して配属しておきながら全く知らなかったと言い放たれたことで不信感が更に強くなりました。接客を通じてスキルを磨きたいという思いで入社した会社でしたが在籍していた約一年間、ほとんど接客をさせてもらえず勘が鈍ってしまいました。お客様と接する中で、ヒアリングのコツや商品の選定などのノウハウが失われたと感じています。どの企業も少なからず求人内容と実際のギャップはあると思いますが、それがどの程度のものなのかは入社してみないと分からないものだと身を持って痛感しました。今後の社会人としての生活に教訓としてい生かしていきます。